何だ、この胸騒ぎは。
私の思い込みすぎか?それとも、本当に・・・
「えぇい!!来るならこぉぉぉぉおい!!!」
「そうかそうか、片桐!やっとやる気になってくれたか!先生は嬉しいぞ~うん!あぁ、涙が止まらんよ」
え?
ちょ、あれ?
何で先生泣いていらっしゃるのかなぁ?
しかも今授業中だったりしたのかな!?
「梅子。今は我らが担任数学科担当、ゴリ本(岡本)の授業中だよ」
「片桐!お前のやる気を先生はしかと受け取ったぞ!さあ、この問題を解いてみろ!!」
ちょ、お前...!受け取らなくていいから、私数学に対して言ったんじゃないから!?
これはいじめか?新手のいじめなのか?
私が数学できないの知っててそう言ってるんだよな!?
ゴリ本オォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!
「もとは小梅が悪いんでしょうが」
「・・・ぬっ・・・」
確かに。
私がいつものように真面目に授業を聞いていればこんなことにはならなかった!
くそう・・・!
なんたる失態!悲壮感だわ!
「・・・お前は常に悲壮感だ。しかも毎日授業左から右へ流れてるくせに」
「心読むなあ!」
すごいよ、凄いわよ我が親友よ!
心を読む技を駆使したのね!?
しかも左から右!?そんな器用なことしてたの?ある意味拍手ものじゃないか!
キーンコーン キンコーン
そうこうしている内に、漸くチャイムが鳴りました。
いやあ、よかったよかった。危うく本気と書いてマジと読む(古い)で数学の問題解かされるところだった...!
「片桐!次の授業は先生期待してるぞ!いつもお前、俺の授業左から右に流れてるから、全力で涙が出そうだ・・・!うっ・・・うぅぅ・・・!!」
「いや、だから、先生・・・私は数学に対して言ったわけでは「じゃあな、片桐!先生はこれから会議に出席しなくてはならないのだ!」
・・・って、人の話聞けよゴリ本オォォォォォォォオオオオオオオ!!!!!!!!!!
「お、後一つ頼みがある」
「は?」
「教卓の上にあるプリント全部、数学研究部の部室に運んでおいてくれ!」
「教卓のプリンt・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
WHAT!?
ちょ、訳が分からなさ過ぎて“What”が全部大文字に変換されたよ!?
「ちょ、あの先生!さすがにあの膨大な量を1人で運ぶのは無理d「じゃあな!頼むな!信用してるからな☆」
そして先生は巨大なコンパスを脇に挟んで全力で私の前から姿を消した。
あのコンパス、きっと職員室に付いた頃には絶対湿ってるだろうな。
だって、ゴリ本の脇汗と脇臭すごいんだm
ジャナクテェェェェェェエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!
ちょ、本気であれ1人で持てってか、持てってか!?
「しかたない。私も手伝ってあげようじゃまいか」
「み・・・美沙!!!」
流石我が親友!
泣けてきた、泣けてきた!
「おぉぉ・・・!心の友よぉぉ!」
「ジャ●アンか。」
突っ込みもナイスだZE☆
「さー!早くそれ運んでさくさく帰ろうー!」
「そうだn「美沙ー!」
「・・・ん?」
美沙が私に応答しようとすると、廊下からバタバタという音のオプション付きで大声が聞こえてきた。
「美沙・・・・・!はぁ、ぜぇ」
「何?落ち着こうか、すってーはいてーすってーすってーすってーすってー」
「すーはーすーすーすーすーゴホッゲホォッ!!!!!」
ちょ、アンタこの子殺す気ですか!?
てか、良く見れば隣のクラスの菜月ちゃんじゃないか。
「で、なによ?」
「ゲホッゲホッ・・・委員会の榊原先生がお呼びだびょん」
「その語尾止めろよ気色悪い。榊原じゃ行くしかないなー。小梅、って事だから頑張れ」
「え?は?え?」
ってーことは?
美沙→榊原に呼ばれる→美沙居なくなる→私1人で運ぶ
Nooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!!!!!!!!!
政宗さまが乗り移った気がした。
政宗さまが傍に居てくださるのなら私は幸s
ジャナクテェェェェェエエエエエ!!!!!!!!!!!!!!!
「グッジョブ、小梅☆」
「小梅、頑張ってー、じゃー☆」
「いやぁぁぁぁぁぁあああ!」
さっきのゴリ本の如く、廊下を全力で走り去って行った美沙と菜月ちゃん。
また見捨てられた...!
しかも菜月ちゃん、絶対私が何を頑張るのか分かってないだろ。
ちゃっかり語尾に☆つけやがって・・・恨むぞ、
榊原ァァアアアアアアアとゴリ本オォォオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!
「・・・さぁて、脳内突っ込みをしている場合ではないぞ、小梅。この膨大な量のプリントをどーっすっかな」
ガチで1人で運べって?無理?無理でしょ。
だけど、無理って言ってみると無理じゃない気がしてくる。
無理無理無理無理=可能可能可能可能
私の中で、何かが変換された。
「・・・・・・」
「よっしゃアアァァァァアアア!!!!!!!!可能ー!!!!!」
え、煩いって?気にしない気にしない。
気にしてたらやっていけないよ、人間は。
早く運んで、さくさく帰って政宗さまを拝もう!!!!!!!!!!!!!!
【小梅は政宗という単語で369%みなぎった。】(RPG風)
「み な ぎ る あぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!!!」
「うるせーな、お前」
「うおぉぉぉぉやかたさ・・・え」
今ドアから声聞こえなかった?
え、お化け?幽霊?お断りだよ?
「・・・お化けでも幽霊でも妖怪でもねぇよ」
「妖怪だなんて言ってないもん、心読まないでよ」
何?みんな何で分かるの?
私も身につけたいよ。美沙の心のうちとか読みたいよ。
「・・・て、ドS君じゃまいか。」
「・・・何だよそれ」
何の用ですか?
私に何の用ですか?
「・・・俺の名前知らねぇの?」
「知らない興味ない消えろ」
「酷どいな・・・片桐」
「何で私の名前知ってるんですか」
「俺、成瀬政弘」
「無視ですか」
しかも“政弘”だとオォォオオ!?
政宗さまと似たような名前しやがって・・・!!!!!!
悟ったよ。
私合わない、
ぜったーーいコイツと合わない!!!!!!!!!!!!
「そのプリント1人で運ぶのか?」
「それが何か」
「片桐さ、俺に冷たくねぇ?」
「気のせいです自意識過剰です消えろ」
「またそれか!!!!!!!」
何なんですか、早く帰れよ!!!!!!
下校時間とっくに過ぎてるだろーが!!!!!!
良い子はお家に帰って大人しくゲームで政宗様を敬って褒め称えてろっ!(それは小梅だけ)
「手伝ってやろうか?」
「はい?」
「プリント、1人じゃキツイだろ?」
「・・・いいです、遠慮致します」
コイツと2人で!?男と2人で!?
ムリムリムリムリムリ!!!!!!!!!!!!!!!!!これは可能にはならねぇよ、永遠に不可能だよ!!!
「別に見返りは求めねぇって!!」
「求めてたの!?とっ兎に角いいの、君は早く家に帰ってゲームしてなよっ」
「何故ゲーム!?てかマジそれお前1人じゃ無理だって」
「無理じゃないよ、可能ですからどうぞお構いなくぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!」
と、いうか。
何故言いながら近づいて来る!?
「本気と書いてマジと読むくらい大丈夫だからっ、早く帰りなよっ、てか近・・・」
「片桐さ、何で男子避けるの?」
「は・・・?」
ちょ、何言ってるのこの人。
確かに男子は避けてますけど?どうしてそれを成瀬くん・・・だっけ?が気にするの?
「なぁ、」
「避けてなんかないよ。・・・仮に避けてたとしても、成瀬くんには関係ないでしょ」
「関係ある。」
「はい!?」
な!?
私成瀬くんと今日初めて話したのよ!?
関係あるはずがないだろうがァァァアアアアアアアアア!!!!!!!!!!
「あのですね、君と私は今日初めて話したわけなので、関係あるっておかしくないですかね」
「お前・・・!!俺ら喋ったの初めてじゃねぇだろ!?」
「・・・・・・えぇ!?」
え、いつ喋った?
やっべー思い出せねぇよ!!!!!!!!若年性アルツハイマー!?
それとも成瀬くんが若年性アルツハイマー?
「いや、片桐だろ」
「心読まないで」
「口に出てるから」
「え」
じゃあきっと今までのも全部!?
美沙・・・・・・
心読んだとか嘘つきやがってアノヤロー・・・・・・
「本当に覚えてないのか?」
「・・・残念ながら。・・・てかもうこんな時間!?早く運ばなくちゃ家に帰らなくちゃゲームして政宗さま拝まなくちゃさようならー!!!!!!!!!!!!!!!!!」
私はどうにかこの場を抜け出そうと早口で成瀬くんに告げ、プリントを頑張って持ち上げて教室を出ようとした
が。
「・・・・・・・あの」
「ん?」
「何でドアの前に立つのかな・・・」
「・・・・・・」
なにこの空気ィィィイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!
全ての生き物が動きを停止するくらいの冷たさだよオォォォォ
しかも近いよオォォォォオオ
ヤメテヨォォオオ
「あのね、成瀬く「俺」
「は?」
「片桐が好きだ」
「・・・え?」
あぁ、このことだったんだ。
私の嫌な予感。
さっきまでの私のオチャラケな叫びは一体何処へ消えてしまったのだろう。
鳥がバサバサと飛ぶ音が妙に耳に入る。
それと同時に、抱えていたプリントが一気に腕からすり抜ける。
その音が止んだ途端、私はどうしようもなく怖くなった。
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