後片付けを済ませる頃には、既に星が見え始めていた。結局、山のふもとを少し離れた川岸に野宿することになった。
夜になってから移動するのは危ないため、皆固まって談笑している。夜は少し冷える程度で、問題はなかった。たき火が収まると、笑い声は寝息へと変わっていった。
寝しずまってから、聡は目を覚ました。遠くの方から届いている音を聞くと、咲乃の荷物を見た。大きな荷物が一つなくなっているのを認めると、音のする方へ歩いていった。
聡:「よっ!」
声に遮られて、咲乃の演奏は中断した。硬直したまま振り返ってから、安堵した様子を見せた。
咲:「なんだ、さとしかぁ。びっくりした」
聡:「悪い悪い。ごめん」
平謝りをして、咲乃の隣に胡座をかいた。話すことはお互い特になかったので、沈黙が下りていたが、とりあえず聡は口を開くことにした。
聡:「さっきの何?」
咲:「さっきのって、何?」
聡:「ほら、さっき吹いてた曲」
咲:「・・・・・・・チャルメラ」
およそ一世紀ほど前にポピュラーだったものだ。頭の中でなんとなく流れたので、ずっと吹き続けていたらしい。
その後、二人は床へついた。
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