Ⅰ.
・・・・・暇だなぁ。
ただ今、化学の授業中。ほんと、この人何言ってんの?分かりやすいとか分かりにくいとかそういうレベルじゃない。訳わかんない。そもそも、どこまでが雑談でどっからが授業なわけ?黒板の字も汚くて読めないし、ぶつぶつ呟いてるだけだから声も聞こえない。この内容を理解できる人は世界に何人くらいいるのかな?
とうとう耐えられなくなり、私は手を挙げた。
「先生、気分悪いんで保健室行ってきます」
言うと、素早く席を立った。
こんな意味のない授業なんか受けるよりよっぽどましですよね?と、心の中で付け足して。
しかし、いざ教室の外に出てみると、どうしてか、保健室に行く気も失せてしまった。
風通しのよい廊下に冷たい風が一吹き。カーデガンを持ってくればよかったなぁ。そんなことを考えながら、行くあてもなくただ廊下を歩いていく。授業中の廊下は静かで、それぞれの教室から漏れてくる教師の声を除けば、聞こえるのは風の音だけ。人気もなく、廊下は向こう端までまっすぐに続いている・・・・・・・・。
異変を感じたのはそのときだった。
風が・・・・・
・・・・・・変わったような気がした。
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