突然ですが、「完食」という言葉は結構最近できた言葉で、変換では出てこないということを、みなさんは御存じでしょうか?私はつい最近、というか今知りました。タイトルを打っていて変換しても出てこなかったので、あれ?と思って検索したらあるページにそんなようなことが書かれてました。広辞苑にも載ってないそうです。
で、話は戻りますが、6月6日にクラスで某遊園地に行ってきました。飴夜にはメールで話したけど微妙にぼったくりだったよ、そこ。と言うわけで、そのときやったバーベキューのことを小説風(?)に書いてみます。
6月6日にUFOが~あっち行ってこっち行って落っこちて~お池が二つ~できました~♪
「やっと火がついたぁ~」
薪に火がつかずに悪戦苦闘していた私たちを職員のおじさんが見かね、バーナーで火をつけてくれたのだった。
「よし、じゃあ鉄板のせよっか」
しばらくして野菜を切りに行っていた一団が戻ってきた。うちわで火を扇ぐ私を見て同じ班のK君が言った。
「おっ、魅世さんうまいっすね」
私がつけたんじゃないんだけどね。
火が強くなってきたところで、みんなはどんどん野菜や肉をのせていく。焼肉用のタレを準備し・・・
「よーし、いただきまーす!」
いっせいに食べ始める。と、なぜか皿が一個足りない。
「じゃあ俺は肉裏返しとるよ」
“大阪弁”がそう言って菜箸を持った。K君が慌てて皿を渡した。
「あっ、いいっす、いいっす。俺が裏返すわ」
「そう?」
「うん。俺はみんなが腹いっぱいで食えんくなったころに食ったる」
では遠慮なく。私たちは野菜やら肉やらをどんどん食べた。ある程度肉を裏返すと、K君も周りから皿を借りて食べていた。
みんなの箸を動かすペースが落ちるまでにそう長くはかからなかった。
「ああ、もうそろそろお腹いっぱい」
「だねー」
みんなは口々に言った。A君がぽつりとつぶやいた。
「・・・Hさんの後ろ」
みんなはいっせいにそこを見る。なんと、そこには―ボウルいっぱいの野菜が―。
「こっちにも豚肉があと2列ほど・・・」
大阪弁は後ろから発泡スチロールの容器に並べられた豚肉を出した。
「や、やばい・・・」
一瞬、沈黙。周りの班は相変わらずがやがやと楽しそう。
「・・・どうする?」
私の隣でCちゃんが言った。またしてもA君がつぶやく。
「全部入れちゃえ」
彼の言葉に、全員が吹っ切れたように笑った。
「そうだそうだ、もうやっちゃえ」
「入れろ入れろ、何もかも全部」
「焼きそばもあと2袋だし入れちゃえ」
完全にヤケクソだった。
しかし、鉄板の上に並べられた量は、みんなの予想をはるかに超えていた。
「・・・やばくね?」
「ぜってームリだし」
私はふと、タイミングよく先ほどのK君の言葉を思い出した。
「・・・K君、さっき、みんなが食べなくなったころに俺が食べるって言ってたよね」
K君はこわばった笑みを浮かべる。
「おっ?そうじゃん」
「食べてよ」
そして彼はがっくりと肩を落とす。
「まじっすか~」
口は災いの元、こうして、フードファイターKの挑戦が始まった。
五分後。
「もうムリ!」
フードファイターは早くも箸を置いた。
「おいおい、まだ始まったばっかじゃん」
「クイズ・ミリオネアだったらまだ五問目くらいだし」
「頑張ってよ」
「じゃあ・・・フィフティー・フィフティーお願いします」
「オッケー。フィフティー・フィフティーだ。半分に分けよう」
フィフティー・フィフティーの使用によって量は半分になったが、それでもまだかなりの量だった。
「おっし!頑張ろう!俺の味方は『なっちゃんオレンジ』です」
K君はなっちゃんオレンジを片手に箸を持った。私の口から思わず本音が飛び出した。
「すごい、入学して以来、今初めてK君が輝いて見える・・・!」
するとA君が横から言った。
「お前、今まで輝いてなかったって」
「・・・すいません。これから輝きます」
K君が戦っている横で、他の班員は半分の量を少しずつ食べていく。
「うわっ、これ生だ!」
大阪弁が豚肉を一口食べて言った。
「生ってやばいんじゃない?」
「そうだよ。
毒が入ってる」
それは数日前の現代社会の授業中のこと。どういうわけか先生が肉の話をしだした。
「豚肉は生で食べちゃいけないね。どうしてか分かるかな?・・・はい、どうして?」
サングラスで鼻の下にひげを生やした強面のT先生はそう言って突然最前列に座っていた大阪弁を当てた。
不意打ちを食らった大阪弁は、思わず言ってしまったのだった。
「
毒があるから」―。
「T先生に豚肉レアで食べてますよって言ったらどういう顔するかな」
「ははっ」
T先生は後ろでコーヒーを入れていた。・・・あれはコーヒーメーカーだったのか・・・。
「・・・まあ大丈夫だって。大阪のノリでそれくらい食べちゃえ」
「魅世さんって結構ムチャ言うなぁ・・・」
言いながら大阪弁は豚肉のレアを一枚平らげた。いつの間にかA君が横から生の豚肉を大阪弁の皿に入れている。
「俺、月曜日腹こわして学校休むかも。っていうかコレどう見ても刺身だろーっ!」
みんなが騒いでいる横で今もフードファイターは戦っていた。
K君は苦しそうな顔でなっちゃんオレンジを取る。しかし中身は空だった。
「あー!もぉねーじゃん!A、レモンティーちょうだい」
するとA君は無表情で空のレモンティーを見せる。漫画のような展開に一同大うけ。
「マジかよーっ!!」
頭を抱えるフードファイター。
「あと少しだって!伝説達成したらK君勇者だよ!そのときの喜びはプライスレスだって!」
「お金で買えない価値がある、買えるものはマスターカードで、ってか」
「おーっし!豚肉は俺に任せろ!ドンと来い!」
大阪弁はそう言って残っていた豚肉5~6枚を一気に自分の皿に入れた。私はすかさずくどくて皿に残していた肉の脂身の部分を入れる。
「あれっ、今何か入れたでしょ!おいっ!コレだけ残すなよ!・・・しかも冷めてるし!」
大阪弁は苦悶の表情で豚肉を食べる。
「うわー。肉汁が口の中にジュワーって広がってく・・・」
続いてウインナー。大阪弁の表情が見る見るうちに暗くなる。
「お・・・、肉がはじけて・・・中から脂が・・・ぐしゃーって感じ」
「表現が気持ち悪い・・・」
大阪弁は絶望のまなざしで皿いっぱいの肉と少しのナスを見る。
「さて・・・、この4個のナスをどう有効利用するか・・・」
「まあ、みんな頑張れー」
言いながら私も野菜類を片付けていく。
「・・・なんだかんだ言って魅世さんが一番貢献しとるよね。さっきからずーっとペース崩さずに地味に片付けてっとる」
「ほんとだ・・・」
「そうかな?実はまだ余裕なんだけど」
「じゃあ食ってよ!!」
K君が言う。
「いやいや。ここはK君が輝く場だから」
正直言って、この味いい加減飽きてきたしね。
それからいろいろあったけど、何とかうちの班はバーベキュー完食に成功した。見回すと、完食できたのはうちの班くらいだった・・・。
恐るべし、バーベキュー。
長くなってすみません。うちの学校はこのようにかなりの個性派ぞろいで、毎日超くだらないエピソードであふれてます。最近の大ニュースは授業中に鳩が入ってきたこと。これによってプロフェッショナルのスパイダーマン説は覆されました。・・・意味不明ですんません。いつか話します。
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