美:「そうなんですかー。会長ってイギリスのハーフだったんですね。私はフランス
のかと思ってました」
咲:「な、何を根拠に……?」
聡が破顔する。優歌も内心では面白そうだ。他愛の無い身の上話で、盛況な様子
だった。
聡:「で、雪末さんの、たつやっていうミニブタはどんな感じ?」
咲:「ユッキーでいいですよ!…えっと、タツヤ?可愛いですよ。普通のより耳が大き
めで、ご飯もよく食べるんです」
聡:「そっか……なぁ、相沢さん。相沢さんも何か飼ってるんだろ?俺、動物好きだし
聞きたいんだけど…?」
優歌:「優麻が白で優斗が黒」
聡は頷くと、頭の中でもやもやとした白い動物と黒い動物を思い浮かべた。俐羽は
先頭を歩き、美希は欠伸を噛み潰しながら歩いていた。
丁度会話が途切れ、全員の注意が前方に向いたその時。
俐:「くっ……!」
美&聡&咲:「うわっっっ!!」
突然視界は白に染まり、咄嗟に目を覆った体勢のまま、体が停止する。
美:「体が動かないんだけど…?」
咲:「みんなそうだって!」
薄らぎ、おぼろげになっていく意識の中、なんとか呟きを俐羽は絞り出した。
俐:「まさか、消失事件の…!?」
全員の視界が暗転するころには、5人を除いた街並みに、モンシロチョウが通り抜け
ていった。
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