こ わ い 。
どうしようもなく、途轍もなく怖いよ。
人を好きになる事が、人に好かれることが。
「冗談、だよね、からかってるんだよね、」
「冗談で言えることかよ」
「信じない」
「...え?」
「私、信じられない」
こんなこと、信じられるものだろうか。この私が。
男の言葉なんか、全部嘘、うそ。絶対そうに決まってるんだ。
実際私は体験してるから、中学の時に。
「嘘じゃねぇ!」
「嘘だよ!私の反応見て面白がってるんだ!そ、うだよ、そうでしょ!?」
「違げぇ!」
ほら、ほら。ムキになる。
否定した。嘘なんだよ。もう、嘘にしか聞こえない。
「冗談かます相手間違えたね!私じゃなくて、も、っと他の、可愛い子にやるべき、だったよ...!」
「あ、お、おい!!」
私は全力で駆け出した。さっきのゴリ本以上に全力で。
ゴリ本...真面目に恨むから。地獄の果てまで...!!
あぁ、もう涙が止まりません。
目頭が熱くなって、どんどん水滴が流れてく。私の体の中の水分が...!
「...わっ!」
全力で走ったら、こけました。運動神経ない私が走れば、まぁこうなるよね。
あ、鼻水が、垂れてきた。きっと人と会えないくらい、ぐしゃぐしゃな顔なんだろうな。鏡を見る勇気ないです。ただでさえ残念な顔してるのに。
「な、んだよ、もー......」
私はこけた体制のまま、床に向かって言った。傍から見れば異常者だろうな。
それにしても、何故、あの男は私に“好き”などと言ったのか。
冗談にしては性質が悪い。
もっと、こう...あったでしょ。“ぶっさいくやなー!”とかさ。そっちのほうがどれだけ楽だったろう。そんなこと言われたら殴るけど。
「...」
そのまま、私は無言で床を見つめ続けた。もちろん、涙が止まらないまま。
どれくらい経ったのだろう。私の目の前に足が。
足が。足が......?
......ん?足?
「なにしてるのよ?」
間違えるはずのない、大好きな親友の声。
若干焦ってる。
てか、何でいるんですか?
「なズビッんで...いるズビッの!?」
泣いている私はもう酷い。見れたものじゃない。鼻水だーだーだしな。
「...はぁー。家に帰ってアンタの家に電話かけたの。そうしたらまだだって言うじゃない?何か嫌な予感、して...さ」
あぁ。
美沙はいつもそうだ。
何よりも私のことをいつも第一に考えてくれて、何も言わずに手を差し伸べてくれる。
本当に、大切な友達、親友。
「...みさ...ズビッ!!!」
「だああ!汚い汚い!鼻水汚い!制服につく!!」
私は思わず美沙に抱きついた。鼻水が垂れたまま。
私も思う。汚いよね。立場逆だったら私も嫌だもん。
「だったらさっさと離れろこの馬鹿!」
「みざ...!さっきの優しさは何処へ!?ツンデレ!?ツンデレなの!?ズビッ」
「鼻水鼻水!あんた仮にも女の子なんだよ!?自覚しろ!」
美沙はそう言って私の腕を掴んで早足でどこかへ誘導した。
え?何処行くんですか?
「美沙...?」
「なによ」
「何処行ぐの?」
「保健室。ティッシュ要る。顔洗う。私に話すことある。」
全部肯定...!!
疑問系になってない!普通、「ティッシュ要るでしょ?顔洗うでしょ?私に話すことあるでしょ?」だよね!?だよね!?
「うるさい黙れ」
「私声に出してない!喋っでない!!」
「心がうるさいのよ心が」
「えええ...」
やっぱり読心術使えたんですか?
以心伝心ですか?あ、それはない。私美沙の心読んだことありません!
「分かるわよ。あんたの考えてることくらい。何年腐れ縁で一緒に居ると思ってるの?」
「...美沙!腐れ縁は余計...だよ!」
「うるさいわね!...あんたも私のことなんか、お見通しのくせに!隠したって小梅にだけはすぐバレるんだから!」
「...親友だもんね?」
「...親友だからよ」
嬉しくなった。美沙が、「親友」って言ってくれたのが。
いつも態度とかで示してくれてるのは分かってるけど、やっぱり言葉にされるとそれ以上に嬉しいと思える。
「美沙っ!愛してるー!!結婚しようー!!!」
「だっ!?ば、馬鹿!鼻水つくでしょ!?しかも嫌よ!あんたみたいな歴史ヲタと結婚なんかっ!」
「歴史じゃないよ!戦国だよっ」
「どっちも一緒よ!!」
やっぱり良い。最高だよ、友達って。
男なんかよりずっと信頼できるし、いつでも傍に居てくれる。
何も言わなくても大体のことは通じるし、分かる。
だから、成瀬のさっきの言動が分からない。
どうして私なのか、なんであんなこと初対面とそう変わらないのに言ったのか。
全く、理解できない。
「彼氏と親友、どっちを選ぶ?」そんなことを聞かれたら、私は即効で「親友」って答えるよ。
いつでも傍に居てくれるし、真剣に向き合ってくれる。
彼氏なんか、いつ別れるか分からないし、別れたらそこで終わり。
その後に残るのは大きな傷跡と喪失感だけ。
だから私は「彼氏」じゃなくて「親友」が良いんだ。
男は浮気する生き物。
それが、私の答え。
この先、一生変わらない気がする。先のことなんか、分からないけれど。
・・・久々すぎる更新。
私の中では、「3年くらい放置してたんじゃね?」ってくらい懐で温めすぎてましたごめんなさい!
えっと、なんか最終回っぽいけど、違います!続きます!
今度はチャキチャキ更新できると、いいなー・・・なぁんてテヘッ★←すんません
では、また続きを暖めに逝ってきまーす★★
☆飴夜☆
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