只今・・・・・何時かわかりません。腕時計なんて実際、腕なんかにつけないし、ふでばこの中に入れてるし(何故ってなんとなくだ)、そのふでばこからわざわざ取り出してまで知りたいわけじゃない。私が知りたいのは・・・。
自分におかれている状況・・・?
「えーっと・・・。」
「・・・・・。」
さっきから、和也は黙ってばかりで話そうともしない。本当のことをいうと、この和也の胸の中にいまだ閉じ込められている意味が分からない。そして、和也が発した、『好きだ』という言葉の意味も・・・。
『嘘だよね・・・。』
そう言うはずだったのに、和也の顔が真剣すぎてその言葉さえ言えなかった。
じゃあ、何て言えばいい?振ればいいの?告白なんて初めてされたから、振り方なんて分からないよ・・・。漫画の中の主人公は、どういう振り方をしていただろうか?焦って思い出せやしない。
ていうか・・・そもそも何で・・・和也は私に告白したのだろうか?私が、靖和都のこと好きって知ってるはずなのに。
それよりも!私は今まで和也を傷つけていたのだ。
「・・・・・ごめんね。」
「・・・・・。」
「今まで気付かなくてごめん。」
「別に・・・てか俺、言うはずじゃなかったのに・・・。」
「何それ。あ・・・あと、告白の返事は、やっぱ和也は友達だから
「無理なんだろ?分かってるよ。」
ふぅ・・・と和也は溜息をついて、私を自分から離して言った。
「お前ら姉弟のことはお見通しなんだよ。」
「ははっ!すごい・・・・・・。」
何でだろう?何で?分からないけど・・・
「何泣いてんだよ。」
「・・わかんないよ・・・。」
鼻をすすって、『ズビッ』という音がでると、和也は噴出して言った。
「泣きたいのはどっちだと思ってんだよ。」
「あー・・・ごめん。」
「もーいいよ。帰ろーぜ。」
「うん。」
それからずっと、黙って帰った。だけど、全然居辛い空気じゃなくて・・・。きっと、これは和也のお陰かなって思った。
「ただいま・・・。」
「あっ!靖和都!おかえり・・・って大丈夫?」
「何が?」
「何か疲れてるみたいだから。」
「そんなことないぜ。今日晩飯何?」
「ん?うどんだよ。」
「そっか。」
やっぱ疲れてるみたい・・・。うどんって消化悪いんだよなぁ・・・。
「明日もジョグするの?」
「えっ!あ・・・まぁ。」
「体に気を付けなきゃいかんよ?」
「あぁ・・」
「紗佳乃ー?靖和都帰ってきたのー?」
私の返事を待つ前に、お母さんが玄関までやってきて、靖和都を見て『おかえり』と言った。
「あら・・疲れ気味?」
「別に・・・。(こんだけでへばってどうすんだよ)」
「だよね?やっぱジョグやめなよ。」
「え?今日早く起きたのって新聞配達があるからでしょ?」
「なっ何で知って!?」
「松井さんの奥さんに聞いたのよ。びっくりしちゃった!」
・・・どういうこと?
「それってどういうこと?」
「・・・・・。」
「もしかして、今日の帰りもバイト?」
「違うよ。」
靖和都は、手をごにょごにょしてから言ったので、嘘をついていると分かった。
「嘘吐くときの癖。やってるよ。」
「えっ!?」
「何で・・・バイトなんか?」
「お小遣い足りないなら言えばいいのにねぇ?」
「そうだよ。」
「自分で買わなきゃ意味ないものなんだよ。」
「?」
『ピンポーン』
いきなりベルが鳴ったので、びっくりした。
「はーい!」
お母さんが声を張り上げて応え、ドアを開けると和也が立っていた。
「靖和都と紗佳乃。ちょっと。」
「あぁ・・。」
「うん。」
さっきの靖和都の言葉の意味が気になって、もやもやしたまま外に出た。
出てすぐ和也は、私に耳打ちした。
「この耳栓をして俯いとけ。今日のことを悪くおもってんならできるよな?」
「え・・・まぁ。それくらいなら。」
そして、私の聴覚は失われた。
あとがき
長々すみません。
あと一回で終わるはず。
次は靖和都視点で書くんだけれども
最後が靖和都で終わるのもなんかなぁ・・・。と思うけれども
まぁいいではないかと言うことで。
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